自分のまちで何か起こったとき、動ける人でいたい。

フェス, 東日本大震災 |
2016年 10月 20日




ボランティアストーリー029-01
宮城県石巻市に生まれ育ち働く小野寺さん。
2013年からたくさんのイベントのボランティア活動に参加してきました。
落ち着きのある小野寺さんがいると、一緒に活動するボランティアさんからも「小野寺さんがいると心強いです!」と周りに安心感を与えてくれます。
東京から東北にくるボランティアの中には、小野寺さんと一緒に活動ができるのを楽しみにしてくる人もいるくらい信頼の厚い小野寺さん。
イベント以外にも地元の消防団に参加しています。
震災直後も被災した地元活動していた小野寺さんに、東日本大震災後の活動をお聞きしました。

Q.東日本大震災前にはボランティアをしたことはありましたか?

地元で消防団の手伝いをしていました。

Q.2011年3月11日はどこで何をしていましたか?

石巻市内の職場で仕事をしていました。
大きな揺れがきて仕事どころではなくなってしまいました。その日は姪っ子が実家に遊びに来ていたので心配で実家に帰りました。
いつもは車で20分で帰ることができる道のりも1時間以上かかりました。
次の日の3月12日は、職場に行きましたが職場も被災して何もできませんでした。

Q.その後はどのように過ごしていましたか?

20歳代後半から地元の消防団に入っていたので、職場が被災して仕事ができないとなって消防団の方に行ってみました。
3月11日すぐに消防の集合場所に行ったけど誰もいなくて、電話も繋がらなかったしその日は一旦家に帰りました。
次の日も行ってみたら活動している人たちがいたので3月12日から活動に参加しました。
3月末までは、消防団のメンバーが交代で、人探しやがれき撤去を行っていました。
仕事が再開してからは、仕事として被災した車の修理などで忙しく働いていていました。

ボランティアストーリー029-03
↑ 震災後消防団で活動していた大川小学校

Q.消防団って普段はどんな活動をしているんですか

普段は月に1回くらい火災予防で地域の見回りをします。
「消防」って聞くと火事の時に何かするのかな?って思う人もいるかもしれませんが、火事だけでなく東日本大震災の時のような災害時に出動します。
私が住んでいる地域はすぐ堤防があるところなので台風のときも出動要請がかかります。
地域の草刈りをするときもありますよ。
年に3回くらい町の消防団の大きな集まりがあって、他の地区で活動している中学校の同級生とかにも会えるのは面白いですね。

Q.消防団に参加したきっかけを教えてください

うちの地区の消防団に若い人がいなくて、地元に残っている人ってことで声を掛けられたのがきっかけです。
同級生の仲間と一緒に入ったので消防団に入ることに抵抗はありませんでした。

Q.消防団の活動は大変ではないですか?

活動は強制的ではなく自分のペースに合わせてできるので続けられています。
草刈りなどの活動日は朝が早くて大変だけど、毎週活動するわけじゃないですからね。

Q.消防団って地域に必要だと感じていますか?

必ずしも『消防団』という名前でなくてもいいと思うんですけど、何かあったときに動ける人たちがいるっていうことが大事だと思います。
実際、東日本大震災の時もだけど規模が大きい災害の場合、自衛隊も来るのに時間がかかってしまいます。そこで誰が動くってなったら、自分たちしかいないと思ったし、消防団のような活動って必要だなと思いました。

Q.消防団のような活動に参加する人が増えたらいいなと思いますか?

消防団の活動がどこの地域にもあるかはわからないので素直に増えたらいいと答えられませんが、こういう地域の活動に参加していると、自分の地域に目を向けるきっかけになります。
他の地域でボランティアをしている人はいるけれど、自分の地域で防災の活動をしたり何かあったときにどうすればいいか知っている人って、実は少ないんじゃないかなって思うときがあります。
消防団に限らず、自分のまちで何か起こったときに動ける人が増えたらいいなと思います。
地域とのつながりができるので引っ越してきた人でも是非参加してもらいたいです。

Q.消防団以外の活動で参加したボランティアにはどんな活動がありますか?

音楽が好きなので土日を利用して、東北で開催されるイベントを中心に参加しています。
その他は、南陽市の豪雨災害のボランティアに行きました。
他で何か災害などが起こって自分が動けるならば行きたいと思っています。

Q.今年1年の中でも熊本の地震や台風被害などがありましたが、そのような災害について考えることはありますか?

災害は気を付けていても起きてしまうので、起こったときどうするかとか、地震と違って台風の場合はある程度予測ができると思うので被害を少しでも小さくするにはどうすればいいのかな。と災害が起こるたびに考えます。

Q.消防団での活動以外で初めて参加した東北ジャム2013に応募したきっかけを教えてください

以前ボランティアストーリーで出ていた遠藤さんと同じく、お客さんで行こうと思っていたんですけど、地元でフェスが開催されるということで「地元の人が動かないとダメだ」と考えた結果、主催する側になりたいと思ってボランティアとして参加しました。
慣れないことばかりで大変でした。だけど楽しかったです。

ボランティアストーリー029-04

Q.震災直後は地元の消防団として、2013年からは定期的にイベントのボランティアに参加されていますが、続けている理由はありますか?

うーん。明確な理由があるわけじゃないんですけど…。仲間も増えるし楽しいですよ。
ボランティアに参加する前は、休みの前の日に飲んで次の日は一日寝てる…。というような休みを過ごしていました。
ボランティアはみんなで意見を交換し合いながら、どうやればいいか考えながら活動をするところが楽しいです。
仕事やバイトなどでお金が発生すると上下関係もちゃんとしなければと思いますが、ボランティアは上下関係がなく活動できるで面白いのかもしれませんね。

Q.ボランティア活動をしていると東京から足を運ぶ人たちとの出会いもあると思いますがどういう気持ちで一緒に活動していますか?

率直に「すごい」って思います。
僕は石巻に住んでいるから東北の活動に参加できていますけど、地元の人が地元のことを手伝うのと、地元じゃない人が手伝うのは違うと思うのですごいって思います。
こっち(東北)の現状を知ってもらうにはボランティアとして来てもらうのが一番いいと思うし、来てもらえると嬉しいですよ。

Q.関東などの人に東北や石巻の現状を知ってもらいたいと思っているんですね

風化しないためにも今を知ってもらいたいと思っています。
どこまで復興しているか行ってみなければわからないと思うんですよね。

ボランティアストーリー029-05

隣の東松島市では閉じた仮設住宅もあるみたいですが、石巻には仮設住宅に生活している方たちがまだまだいます。
ボランティアで来ることで人ともコミュニケーションも取れるし、東北の人と話すことでわかることがあると思います。
押しつけはしないですけどね。

取材:田屋 由佳利
プロフィール

ボランティアストーリー029-06 小野寺 幸浩(37歳、写真左)
職業:会社員
住まい:宮城県石巻市
出身:宮城県石巻市



最新のボランティア募集情報
一覧へ



    トップページボランティアストーリーとは運営団体について記事一覧お問い合わせ

    赤い羽根共同募金