「楽しかった」で終わらせず、次につながる何かを残していきたい。

フェス, 東日本大震災 |
2016年 1月 21日




ボランティアストーリー026-01
「ボランティアを始める前は、行動範囲も交友関係も狭くて何か足りないな…。この生活から抜け出したいな。と思っていました。」と話す亜希子さんは、2012年のボランティアをきっかけに様々な活動に参加するようになり、ボランティアで出会った方と昨年結婚しました。
自分の意見をしっかりと持ちながらも、周りのことも考え行動をする亜希子さん。責任感もありボランティアの仲間からは優しいお姉さんという存在です。
そんな亜希子さんですがボランティアを始めたときは悲しい気持ちや思い出があったようです。震災直後の気持ちや、活動を続けられている理由などをお聞きしてきました。

Q.2011年3月11日はどこで何をしていましたか?

仙台市内の職場で休憩中でした。
大きな揺れでびっくりしましたが、職場では情報が得られずしばらく状況がわかりませんでした。
少し落ち着いてから家に帰ったのですが、帰り道で近所に住んでいる友達に偶然会うことができて、震災時は一人で過ごさなくて済みました。
次の日は多賀城市の実家に行きました。実家はマンションだったので津波の被害はないと思っていたし、多賀城は火災が起こっていると聞いていたので行くのを躊躇していましたが、友人の善意に頼り、車で向かいました。
家族の中には海に近い場所で働いている人もいたし、携帯電話で連絡も取れなかったので直接会いに行きました。

Q.震災後、初めてボランティアしたのはいつでしたか?

2012年9月に行われた、AIR JAM2012という音楽イベントのボランティアでした。
その前も何回かボランティアしようと思って自分なりには探していましたが、思い切りがつかなかったんです。
当時、図書館によく通っていて、そこにボランティアの募集情報などのリーフレットが置いてあったので、情報をチェックしていました。AIR JAMのボランティアも図書館にあったリーフレットで知りました。

Q.初めてのボランティアはどうでしたか?

私は飲食ブース前のエコステーションを担当しました。
暑いし、ゴミはたくさん出るし、すごく疲れたけれどやりがいがありました!
ボランティア初心者だったこともあり最初は土曜日だけのつもりでしたが、ボランティアの事前説明会の雰囲気がとてもよくて、後から日曜日も申し込んで2日間ボランティアとして参加しました。
活動が終わった帰り道、達成感と楽しい気持ちでいっぱいで帰ったことを今でもすごく覚えています。
一人で参加したけれど、活動が終わった後には友達もできて、またボランティアやりたいなという気持ちが強く残りました。

ボランティアストーリー026-03

Q.一人で参加することに抵抗はありませんでしたか?

今まで何かに一人で参加することってほとんどなくて。
でもあの2012年の時はなぜか一人でも行動できたんです。
理由は今でもわかりません。あの時のことを考えると不思議な気持ちになります。
けどやっぱり東日本大震災があったからかな。

Q.それまで、なかなかボランティアに踏み出せなかった理由はありますか?

震災直後のボランティアってがれき撤去とか泥だしとか力仕事系が多かったでしょ?
私は、力仕事は得意じゃないし、周りでボランティアに行っている人もいなかったし、一人が不安だからって誰かを誘うこともできずにいました。
友人にも被災した子がいたので引越しの手伝いとかはしていました。
周りに一度は被災者になった人がいたから、誘って参加することに少し抵抗があったのかもしれません。

Q.踏み出せなかった亜希子さんが、AIR JAM2012に参加したのはどうしてですか?

震災前、よく連絡をとっていた友人がいて。その人が震災で亡くなってしまったんです。
石巻に住んでいた子で津波に流されてしまって、震災後しばらくたってから発見されました。
いままで身近な人が亡くなった経験がなく、人の死に対して全く慣れていないこともあってすごく悲しかったです。その悲しい気持ちやり場を何かにぶつけたかったのかもしれません。
その人はAIR JAM2012に出演したASIAN KUNG-FU GENERATION(以下略-アジカン)というバンドが好きだったんです。そのアジカンがAIR JAM2012に出ることを知って、何か繋がるものがある気がして、ボランティアしようと決めました。

Q.その後は、色んなボランティアに参加しているんですよね?

そうですね。AIR JAM2012がボランティアに参加するきっかけになりました。
私は、イベント系のボランティアに参加することがほとんどですが、復興イベントといっても、スポーツ系、音楽関係、追悼イベント、地域のお祭りなどなど、様々なボランティアがあります。色々な種類のボランティアに参加してみて、やれることを無理のない程度で、自分の出来る範囲で続けていくことがいいのかなと思うようになりました。色々なボランティアに参加したからこそ向き不向きもわかりました。

ボランティアストーリー026-04

私は、がれき撤去や仮設訪問など震災に直結したボランティア活動をしていたわけじゃないので、「私はこの震災に向き合って活動できたのだろうか」と自問自答するときもあります。
震災に直結したボランティアに参加してみてもよかったかなぁ、と少し後悔もあります。

Q.もし、また災害が起こったらボランティアとして活動したいですか?

やりたいと思っています!
最近結婚したこともあり、これからの生活が今まで通りとはいかないときもあると思います。それでも、その時の自分でもできることがあるのならば、迷わず動きたいです。
旦那さんともボランティアがきっかけで出会いました。彼はすぐに行動に移せる人で、そういうこともすごくいい影響を受けているし、心強いです。
何か起こってウジウジしていたら前と同じになってしまうので、今度は動きたいな。

ボランティアストーリー026-05

Q.ボランティアを続けてられる理由はありますか?

AIR JAM2012をきっかけに一緒にボランティアに行く友人もできたので、誘い合って参加していました。回数を重ねるごとに色んなところで知り合いができて、ボランティアっていうより楽しいから続けている感じもあります。
友達とだけではなく、一人で参加するとまた違う発見があります。一人は少し緊張するけど新しい気づきがあります。
「楽しかった」で終わらずに次に繋がる何かを心に残していきたいと思っています。
同じイベントでもお客さんで行くと「楽しかった」で終わるけど、ボランティアで参加すると活動や打ち上げでボランティアの人と繋がれるのも面白いです。

ボランティアストーリー026-06

ボランティアって一生続けられますよね。
福祉、子ども、イベント、震災関連、環境…ボランティアって色んな種類があるから、ライフスタイルに合わせてできるし、自分の為になると思うんです。
習い事をする人と一緒で、私にとってボランティアは趣味に近いかもしれません。
ボランティアをしていると「すごいね」って言わるけど、ボランティアが特別じゃないものになるといいな。

Q.ボランティアをするようになって変わったことってありますか?

一人の時間が好きでしたが、それを欲さなくなりました。
一人の時間ってつくろうと思えばいつでもつくれると思うんです。でも、みんなといる時間ってその時しかないし、すごく楽しくて、ボランティア以外にも遊びも趣味も誘われたら断らず、人といる時間を大切にしたいなと思いました。
あとは、人と接するのが楽になりました。
結婚したり、住む場所が変わったり、接する人が変わっても、苦になりません。
ボランティアするまでは、行動範囲も交友関係も狭くて何が足りないな、と思っていました…。ずっと、「この生活から抜け出したい。何かしたい!」って思っていたんです。そういう気持ちもボランティアに繋がったのかな。人と接するのが楽しいと思えるようになりましたよ。

ボランティアストーリー026-07

Q.確かに、社会人になると新しい友達ができたりする機会って少なくなりますよね

そうなんですよ。社会人になって普通に生活していると、知らない人と出会うきっかけって、趣味があるならサークルに参加するとか、合コンとかしかないなって思うんです(笑)。
例えば合コンだと性別も年齢も限られてしまうけど、ボランティアで知り合うと一緒に共通の目的の為に活動して意見を出し合ったりするから、その人の人となりが見えてくるんですよね。
出会いがないと思うなら、ボランティアをやってみたらいいのに、って思います。もちろん向き不向きがあると思うので強制はできませんが…。

Q.ボランティアをしていて面白いと思うときってどんなときですか?

ボランティアに参加する人が、積極的に案を出すことが大切だと思います。
昨年末に参加した音楽イベントのボランティアで、お客さんの荷物を預かるクロークを担当しました。ですが、イベント前日に強風でクローク用のテントが壊れてしまって、急遽イレギュラーな対応をしなければならなかったんです。
チームリーダーを中心に、みんなで話し合って活動をすすめました。意見するとまた違う意見が出てきて。実践していくとどんどん活動しやすくなっていって面白かったです!
人それぞれ違う意見があって話し合えるのってボランティアらしくていいなと思いました。
他の人の意見を聞くと「こんな考え方もあるんだな」って気づけるし視野が広がります。

Q.意見を出し合って活動を進めていくって仕事とは違いますか?

仕事のときも自分の考えを発言するときもあるけれど…。
職業柄もあるかもしれませんが、意見を出し合ってその場で何かを作り上げるっていうことはなかなかないです。
ボランティアは年齢とか仕事の立場とか関係なく自由な空間です。色んな人がいて、それぞれの「やりたい」という気持ちでつながっていますよね。

Q.印象に残っているボランティアはありますか?

東日本大震災の命日である3月11日前後に東京の日比谷公園で行われているPeace On Earthには2回参加しました。いつも東北でボランティアしているので東京で活動するのはPeace On Earthが初めてで。
復興にかかわる人たちと実際に触れ合うことができて、すごく刺激を受けました。
私は東北のボランティアを紹介するブースでボランティアをしていたのですが、震災関連のボランティアについて質問してくるお客さんが多くて、こんなに関心がある人が東京にもいるんだと、びっくりしたし、すごく嬉しかったです。ボランティアを続けていきたいと思えました。

ボランティアストーリー026-08

Q.ボランティアについて思うことはありますか?

震災後、ボランティアが活動する場所は増えたし、身近になったなと感じます。
今の10代とか大学生の子とかは、若いときから自然と色んな人と繋がれるボランティアという場があってすごく羨ましいなと思います。
自分が10代のときに今みたいに、ボランティアに出会えていたらなぁと思います。学生のときって大人に接する機会ってなかなかないけれど、ボランティアに行けばたくさんの色んな大人に出会えるし、社会に出るのも怖くなくなるんじゃないかな。
こういう時代だからこそ、若い子がもっとボランティアにいったらいいなと思います。

Q.最後に、ボランティアしてみたいなと思っている人にメッセージをお願いします!

ボランティアには、新しい自分や人との出会いがあります。
昔の私みたいに、日常や生活がちょっとつまらないな、変えたいなって思っている人がいるなら、ライフスタイルが変えられるきっかけになると思いますよ
サークルとは違ってアピールできるような趣味がなくても参加できるのでハードルもありません。習い事を始める感覚で、ボランティアを始めてほしいなと思います
ボランティアって特別なことじゃない。試しにやってみてほしいです!ボランティアがもっと身近でカジュアルなものになったらいいなと思います。

ボランティアストーリー026-09

ボランティアを通して知り合った人の中には、会う度に頼もしくなっていたり、前向きに変わっていく人がいました。そして自分自身もその中の一人だと気がつきました。
ボランティアに参加したら何かしら変われると思いますよ!
ボランティアは強制するものではないから、人に勧めることに今までは抵抗がありました。
でも、ボランティアは特別なことではないと知っている自分だからこそできることがあるはずです。
自分を変えたいと思っている人・ボランティアのことを知らない人に、自分の経験を通してきっかけを作ってあげられたらいいなと思っています。

取材:田屋 由佳利
プロフィール

ボランティアストーリー026-10 清水 亜希子(33歳)
職業:会社員
住まい:宮城県仙台市
出身:宮城県仙台市



最新のボランティア募集情報
一覧へ



    トップページボランティアストーリーとは運営団体について記事一覧お問い合わせ

    赤い羽根共同募金