ずっと気になっていた被災地へ行って。

東日本大震災 |
2014年 6月 17日




ボランティアストーリー011-01
「高校生のときは忙しくて、なかなかボランティアに行くチャンスが無かった」と話す田中南帆さん。地元神奈川県の高校を卒業する直前に初めて東北へ行き、その一年後にも再度一人でボランティアに挑戦しました。おっとりとした雰囲気と芯の強さを感じさせる南帆さんから、自分の意思で行動に至ったストーリーを、じっくり聴いてみました。

Q.東日本震災から約2年後に初めてボランティアにいったんですよね?

2013年2月、高校卒業の直前に初めて行きました。
震災が起きたのは高校1年生の終わりごろで、それまではソフトテニス部の練習に一生懸命な「そこらへんにいる高校生」って感じでした。

Q.震災当時はどこで何をしていましたか?

ちょうど、学校でテスト返却中だったんですよ。結構揺れが長くてパニックで泣いちゃう子もいて、先生が「大丈夫だから」ってみんなを落ち着かせていました。私は、頑張れば高校から歩いて帰れる距離に住んでいたので、友達と2時間歩いて帰りました。帰れなくて学校に泊まった子もいたみたいです。家に帰ってからはお母さんとテレビを見ていました。津波の映像を見て、すごくショックを受けました
その日から1週間くらい学校が休みになったんですけど、いつでも逃げられるように普段着で寝たり、貴重品をまとめておいたり、地震がきたら妹に「逃げるよ!」って言ったり、家でも地震に備えて行動するようになりました。

Q.テレビで東北の状況を見て、どう思いましたか?

地震速報が出るから、テレビはつけっぱなしにしておきました。津波の映像ばかり流れてで、本当にショックで「もう観たくない」「何回も同じのを流さないで・・・」って思ってました。行方不明者の数や、亡くなった人の数、それに名前も出ていて、なんか・・・すごく悲しかったです。

Q.それからはどう過ごしていたんですか?

2011年春に高校2年生になって、学校が始まってからもずっと気になってたんです。東北ではまだ学校に行けない子もいるし、卒業式とかもできないっていうニュースも見て、「せっかくの卒業式なのに、できないのかぁ・・・」「同じ日本に住んでるのに、震源に近かったか遠かったかだけでこんなにも違うんだな」「どうにかならないのかな」って思いました。「何かできることはないかな」とはずっと思っていたけど、学校や部活もあってなかなか行動できず、モヤモヤしていました。
2012年春に高3になると、引退前の大会に向けて部活に集中していました。高校生は自分のことに精一杯だったんです。部活もですが、進路も考えないといけないから焦っていて。その頃になると、家族でも、震災の話はあまりしなくなりました。

Q.それから実際にボランティアへ行くまでは?

2012年夏に部活を引退して、秋に進路も決まって時間が出来たんです。ちょうどその時に、テレビを見ていたらバラエティ番組の最後のコーナーで「東日本大震災の募金を集めています」というのを観て。「そういえば、最近テレビであまり見なくなったけど、被災地って今どうなってるんだろう」って気になったんです
そこからは行動が早かったです。友達に聞いたり、自分でケータイで調べたり。住んでいる地域の地名と「ボランティア」ってキーワードで検索したら、「藤沢市市民活動推進センター」って出てきて、とりあえずここに相談しに行こうと思いました。相談に行って数日後、藤沢出身で宮城に住んでいる方に案内してもらいながらボランティアできることが決まりました。

Q.それから2013年の2月にボランティアに行くことになったんですね。周りの反応はどうでしたか?

お母さんは最初驚いていたけど「まあ、行っておいで」「ダメって言っても、どうせ南帆は行くんだから」って言われました(笑) クラスの友達で「一緒に行きたい」って言ってくれた子もいたんですが、結局予定が合わなくて、でも帰ってきてからいろいろ話しました。
2月、初めての夜行バスに乗って、仙台に着きました。最初に名取市の閖上(ゆりあげ)地区に連れて行ってもらったんですが、「なんにもない・・・」「津波でこんなになくなっちゃうんだ」って思いました。閖上中学校にメッセージの書かれた机が置いてあって、もうなんか・・・何を言っていいかわからなくて、言葉を失って涙が出て・・・。「なんで、まだ未来がある子ども達が死んじゃったんだろう」ってすごく考えました。

ボランティアストーリー011-06 ボランティアストーリー011-04

その後は、牡鹿半島でアクセサリー作りやお弁当やさんをやっているお母さんたちに会いに行ったり、東松島で農作業のボランティアをしたりしました。

Q.最後の日には、被災した犬猫を保護しているdogwoodでボランティアしたんですよね?

はい。ワンちゃんの散歩やお掃除などをしました。お散歩・ご飯の時間や健康状態とか、すごくきちんと管理されているなって思いました。お散歩中は表情がいきいきしているのに、ハウス戻されると切ない顔をしていて、辛いのは人だけじゃないんだなって思いました。人は、自分の思いを伝えられるけど、犬は言えないし・・・いろいろ考えさせられたかな。

Q.dogwoodではボランティアさんたくさんいましたか?

ボランティアする人のイメージがちょっと変わった気がしました。みんな自己満足なんかじゃないし、楽しんで積極的にやってるんだなって。地元の人がふらっときて、時間になると「じゃあねー」って帰って行ったり。堅苦しくなくて、気軽にできるっていうイメージになりました。

Q.宮城から地元に帰ってきて、どんなことを考えましたか?

復興は、まだまだこれからなんだなって思いました。あとは、地元の人が思ったよりも元気だったなって。
それと、震災当時のことを話してくれた元トラック運転手のおじさんのお話がすごく印象に残っています。「仕事中に津波が来たけど、運転手だったから裏道を知っていたので助かった。あのまま事務所に居たら死んでたかもしれない」という話は、帰ってからも友達や家族に伝えました。
帰ってきてから、地元のタウン誌に自分の話が載ったんです。それを友達に教えたり、自分が経験したことを広めようと「地元の人は復興に向けて頑張ってるんだよ」って会う人会う人に伝えたりしました。

Q.それから一年後にまたdogwoodに行ったんですか?

本当は夏にも行こうと思っていたんですけど、短大に入学したばかりで自分の生活に慣れていなかったのと、夏休みが思ったより短くて、行けなかったんです。
「春休みになったら絶対に行こう」と決めていて、予定が分かったらすぐにdogwoodに電話して、今度は2013年3月10日~13日の4日間で行ってきました。この時も親には全部決まってから報告して「えっ!また行くの?!」「ひとりでいくの!?」「・・・まあ行っておいで」って驚かれました(笑)。
行ってみると、犬の数は一年前より減っていたけど、ボランティアも減ってきていると知って「また私も来なきゃな」って思いました。
着いた日に閖上にも行ったんですが、一年前と何も変わっていなくてショックでした。なんだろう・・・もうちょっと工事が進んでるのかなって。土盛りする計画も聞いていたから、それも進んでいるのかなって思ったんですけど、全然全く変わっていなくて、「そのまま」って感じでショックでした。

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帰ってから、学校の先生や友達に話しました。「3年経っても、まだそんな現状なんだね」「dogwood、私も行ってみたい」とかいろいろ反応がありました。dogwoodでグッズも買ってきて、ボランティア募集のチラシもバイト先とか友達に配りました。広めたいな、って思っています。

Q.ボランティアに参加して良かったことって何ですか?

うーん、難しいなぁ・・・テレビで見かけることが少なくなった「被災地の今」を自分の目でちゃんとみれたことと、当時の話を聞いて、自然の怖さや人の命の大切さを知ったこと、あとは、相手の立場に立って物事を考えられるようになったのもあります。
たとえば、あるワンちゃんが里親に出されたと聞いて、「なんで里親に出したりするんだろう?」と言う人もいると思うんですが、「飼いたいけど飼えない事情があるのかもしれない」「家の事情とか、この先の生活のめどが立たない中で、諦めざるを得なかったのかもしれない」「だったら、他の人に飼ってもらえたほうが幸せにできるって考えたのかもしれない」とか・・・背景や想いを想像するようになりました。

Q.ボランティアを通して、いろんなことを学んだんですね。最後に、これからボランティアを始めたい人や、被災地のことが気になるという人へメッセージをお願いします

私は「とりあえずやってみたら」って言うと思います。「何をしたらいいか分からない」って人がいたら、自分の経験したことを話してみると思います。私の場合は普通に楽しかったのと、「あの子達(犬)に会いたいな」って思ったからまた行きました。
ボランティアって、交通費とか自分で準備していくし、得るモノも目に見えない。アルバイトは働いた分だけお金が入るけど、ボランティアはそうじゃない。学生はお金が無いから、行きたくても行けないって子も多いと思うんです。ボランティアが増えるには、「いくら費用がかかる」とかが書いてあったり、学校や駅や電車の中に貼ってあったりしたらいいんじゃないかなって思います。

取材:宮本裕子
プロフィール

ボランティアストーリー011-03 田中 南帆さん(19歳)
職業:短大生
住まい:神奈川県藤沢市






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