僕がまた、ボランティアを始めた理由。

東日本大震災 |
2014年 6月 27日




ボランティアストーリー012-01
「最近のボランティアって少し変わってきましたよね」そう話す庄司さんは、震災後すぐにボランティアに参加しました。ですが、2011年の夏以降からはボランティアにいくことがなくなったそうです。しばらく期間を明けて、2014年の4月からボランティアを再開しました。またボランティアを再開し、続けている理由や、庄司さんの「ボランティア」に関する考えを聞いてみました。

Q.震災前はボランティアに行ったことはありましたか?

就職する前に、博物館でボランティアをしたことがありました。
少し興味はあったんですけど、なかなかきっかけがなくて博物館以外ではした事なかったですね。

Q.庄司さんは宮城県の岩沼にお住まいとのことですが、震災の時はどこにいらっしゃったんですか?

丸森町(宮城県南部)にある職場の老人ホームにいました。震災直後から泊まり込みで入居者の対応をしていました。
震災から10日くらい経って、停電が復旧してガソリンもようやく手に入ったので、亘理町に様子を見に行ったんですが、被害をみて、「これはもう元には戻らないんじゃないか」と思いました。帰りに避難所の前を通ったときに、すでに何人かの若いボランティアらしき人たちが物資を運んだりしている姿を見かけて、「もうボランティアをしている人がいるんだ」と刺激を受けて、「近くに住んでいるのに何もしないわけにはいかない」と思い、とりあえずどこでも行けるようにと原付のカブを買いました。

Q.その後はボランティアに参加されたのですか?

震災から2週間ほど経って休みがもらえたので、山元町に初めてボランティアに行きました。その時はまだ、消防や自衛隊も行方不明者の捜索に入れないほど状況はひどかったです。
その後は、職場の老人ホームでは避難者の受け入れが始まりだんだん忙しくなってきたのですが、仕事の合間をぬって亘理町や山元町にボランティアに行きました。2011年の夏くらいまで、ガレキ撤去をメインにイチゴ農家や福祉避難所のお手伝いに単発でボランティアに参加していました。
本当は、長期でボランティアに入りたかったんですけど、仕事を休んでまでいくのはなんか違うなと思っていて、休みの時に行っていました。

Q.ボランティアに参加して印象に残っていることはありますか?

最初に山元町へボランティアに行ったときのことが印象に残っています。
集合場所でゼッケンを渡されたのですが、「待機していてください」と言われしばらく待っていたんです。その時はボランティアの受け入れ体制もあまり整っていなかったんですね。初めてのボランティアでしたし、何をしたら良いか分からなかったので、そのまま突っ立っていました。
すると、60代くらいのおじさんが近づいてきて、「おい、にいちゃん何しに来たんだ!」「仕事は自分で探すもんだ!」と言ってきたんです。
指示が出るのを待ちながら、ほうきで掃除をしたりしてみたものの、間が持たずうろうろしていました。その様子を見て「まだ居たのか!」「やる気ないなら帰れ!」と言われ、さすがに僕も「何かさせてもらおうと思ってきてるんです!仕事も今日やっと休みがもらえて今日しかないんです。何かやらせてください」と言い返しました。
「…んじゃあ、やることはある」と、そこから打ち解けて、おじさんのお手伝いをさせてもらいました。
帰り際、「老人ホームも大変だろ」「また来いよ」と缶チュウハイを手渡されました。
そのおじさんとのやり取りが、震災直後ボランティアを続けていく中でずっと心に残っていて、ボランティアって『受け入れる側』と『参加する側』どっちもいて成立するものだなと考えていました。震災直後でしか体験できないことを見て感じて、「せっかくボランティアに来たのに」という一方的な考え方はおかしかったのだなと気づきました。そして「ボランティアをさせてもらう」という意味が少しわかった気がしました

Q.2011年の夏以降ボランティアはしなかったんですか?

そうですね。夏ぐらいから行く頻度が減っていき、行かなくなりました。
一緒に参加している仲間もいなくて、現地で知り合いができても一度きりで、一人で参加し続けるというのは気持ち的にも厳しくて継続できませんでした。
震災から3年目、ある音楽イベントで被災地のボランティア情報が紹介されているのを見つけて、「ガレキ撤去などの『復旧』のボランティア活動から、『復興』に向けての活動が増えてきたな」と思って、またボランティアへの興味が湧いてきました。それからはインターネットでボランティア情報をたまに見ていました。

Q.ボランティア情報を探し始めてから、実際にボランティアに参加したのはいつですか?

今年の春、震災とは少し違うけど宮城県内で行われた音楽イベントのボランティアに参加しました。一人での参加で、しかも久しぶりのボランティアだったので少し緊張しました。

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Q.震災から4年目になってまたボランティアに参加してみてどうでしたか?

一緒に活動した人たちはみんな主体的に動いていて、すごく影響を受けましたし、今度は知り合いもたくさんできました。
仕事とも遊びとも違った学びや出会いがあって、そこから次につながるきっかけを得たりすることもできました。
あんまり見返りは求めちゃいけないのかなとも思うんですが、その「次につながる」ということが僕にとってボランティアに参加する動機になっています。
あとはやっぱり、震災直後からボランティアも変わったなと思いました

Q.ボランティアはどう変わったと思いますか?

そうですねぇ…震災直後は、ボランティアの受け入れ体制や情報が整っていなかったし、受け入れる側は何が必要で、それをどう繋ぐかというのがとても難しかったと思います。
活動の内容もがれき撤去などが多く、目の前にあることを「しなければならない」って感じでした。
ボランティアで出会う人も、全国からいろんな人が来ていて刺激にはなりましたが、「一期一会」「一回きりの出会い」という感じでした。
今は人と関わるボランティアも増えていると思うし、単に何かを義務的にやるというよりは、ボランティアの「したい」という自発的な気持ちが、新しいつながりや、新しい社会参加のかたちをつくっていくように感じました
震災を経験して東北の各地でそういった変化が起こっているように思います。

Q.先ほども話に出ていましたが、仕事と趣味とボランティアってなにが違うと思いますか?

仕事って、正直みんながみんなやりがいを持ってできるわけじゃないと思うんですよね。目の前にあることをやっていくことにいっぱいいっぱいのときもあるし。年齢を重ねて、経験を積むと自分の枠にはまって身動き取れないときもあると思うんです。趣味だと、集まる人もやることも偏ってしまうし。
ボランティアは、みんな同じ目的に向かって活動はするけど、ギスギスもしてないしかといって遊びでもない。いろんな人がいるから、自分も枠にとらわれずにチャレンジできるなと思います。
あとは、直接人と関われることで、ダイレクトにやり取りできるところもやりがいがあります。人が喜んでいる様子を見たり、ありがとうと言ってもらえとやっぱり嬉しいですからね。

ボランティアストーリー012-03

Q.ボランティアをまた始めて変わったことってありますか?

もともと、出不精であまり人と関わりたくない方だったんですけど(笑)、4月にボランティアに参加してからいろんなことに積極的になりました。
先日は石巻で行われたイベントのボランティアに参加しましたし、今は高齢者の方にお弁当を配達するボランティアをしています。
月に2回、3時間だけなんですけど、配達に行くととても喜んでもらえて、楽しいです。これからも続けていきたいなと思っています。

Q.積極的に参加されてるんですね!

そうなんですよ。あとはボランティアとは少し違うけど、地域の集まりや母校の大学の公開講座などにも行くようになりました。
以前は、地元で何かしたいという気持ちがあっても、自分の意見も恥ずかしくて口に出せなかったんですが、今は「こんなことしてみたい」と言えるようになりました。
すると、「僕もやりたいと思ってた」と言ってくれる仲間もいて、発信すれば何か返ってくるものがあるんだなと思いました。
地元でも若い人たちが積極的に動きだそうとしていて僕も力になりたいなと思っています。

Q.庄司さんにとってのボランティアの良さって何ですか?

ボランティアでいろんな人に出会うと、そこからまた情報をもらって「これも参加してみたいな」と思えるようになるし、世界が広がっていく感じが面白いですよ。
ただ、無理してボランティアをするのも少し違うと思うし、できる範囲でいいと思います。
僕は、休みの日はあんまり外に出なかったし趣味も続かなかったのに、こんなに外に出るようになって家族にもびっくりされます(笑)。
4月にボランティアを再開してから生活が全く変わって、すごく楽しいです!

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Q.では最後に、ボランティアに参加してみたいと思っている人にメッセージをお願いします

まずは、自分の好きなことに関係するボランティアに参加してみるのがいいのかな。好きなことがない人は、身近なところからひとまず参加してみたり、ボランティアではなく講演会などに参加するだけでも、そこから何かが繋がっていくと思います。
1人で行くのは不安かもしれないけど、ボランティアって1人で参加している人が多いです。
誰かに誘われていくよりも、自分で見つけて行った方が自己完結できますしね。僕もいろいろ考えていたけど、活動をしていくうちに「自分はこれでいいんだ」って思えるようになったので大丈夫ですよ。
ボランティアに誘うと「あ、私はいいです」と最初から拒否してしまう人がいるけど、もっとボランティアする人が増えたらいいなと思います。

取材:田屋 由佳利
プロフィール

ボランティアストーリー012-04 庄司亮一さん(30代)
職業:会社員(老人ホーム勤務)
住まい:宮城県岩沼市






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