木村さんは、2013年に行われた東北ジャムにボランティアとして参加したことをきっかけに都内にあるイベント制作などを行っているearth gardenで働くことになりました。
「東北ジャムに参加してたくさんのきっかけをもらいましたし、世界が広がりました」と話す木村さん。当時どんなことを感じたのか、そして今どんな想いで仕事に臨んでいるのかを聞いてみました。
Q.東北ジャム2013の前に、東北に来たことはありましたか?
宮城県川崎町で行われたAIR JAM2012にはお客さんとして行きました。
ちゃんと被災地を見たのは東北ジャム2013でした。
Q.震災が起こった2011年は何をしていましたか?
都内でデスクワークをしていました。
揺れたな、すごいなとは思ったんですけど、目先の仕事に追われていたし、東北に友達や知り合いがいたわけではなかったので、すぐに日常に戻りました。
僕は高校生の時から東北ジャムに出ているようなアーティストの音楽が好きで、そういうアーティストたちが、SNSで震災関連の情報を発信していたのでそういうのを見るようになって東北のことが気になるようになりました。
前の仕事ではマンションの建築とかに関わることをしていて、震災後、都内でも地震で壊れたところがあってその補修工事をすることもあったんですけど、東北はもっと大変なところもあるんだろうな。と考えるようになって、いつか東北に行ってみたいなと思うようになりました。
Q.東北ジャム2013のボランティアに参加したきっかけを教えてください
前職を辞めたときで、ちょうど時間があったんです。
東北ジャムに出るメンツは僕の好みだったし、これを機会に東北に行ってみようと思ってボランティアに応募しました。
3年が経とうとしている頃だったけれど、雑誌か何かで「3年経っても行くのは遅くない」っていう記事を見て、今からでも大丈夫かなと思いました。
実際に行ってみて遅くないなと感じました。
Q.ボランティアではなく、お客さんとして行くという方法もあったと思うんですが…
お客さんとして行くっていう選択肢はなかったですね。
東北の為に何か力になれたらと思っていたのでボランティアを選びました。
Q.それまでにボランティアに興味関心ってありましたか?
「ボランティア」って言葉に引っかかったことが全くなかったです。
ボランティアへの入り口もわからなかったし。
ただ東北ジャム2013の時は、好きな音楽と東北の為にっていう気持ちだけで動きました。
知識ゼロで右も左もわからずに行きましたよ。
Q.初めて被災地である石巻に行ってみてどうでした?
前日に石巻に入って、町をぶらぶらしてたんです。
そこで初めて「あぁこの場所が津波がきたところなのかな」とか考えながら歩くことができました。
石巻に限らず、被災した場所を見るとなんとも言えない気持ちになります。
なんていえばいいんだろう…
想像通りでもなく、想像を絶したわけでもなく、驚いた、落ち込む、悲しい、とかっていう気持ちとも違う今までに感じたことのない気持ちになるんですよね。
前日に自分の目で見て感じた後に、東北ジャムに臨めたので、当日お客さんの様子や、ボランティアが活動する様子を見て、被害があった町にこういう人が集える場所があるって凄く意味があることだなと思いました。そこに関わることができて、充実感があったしすごく興奮していました。どんな形でもこれからも関わっていきたいなと思いました。
Q.東北ジャム2013の当日はどんな活動をしていましたか?
僕は場外駐車場係でした。
最初は「駐車場かぁ」って少し思ったけれど、駐車場チームはとても雰囲気がよくてみんなと一緒に活動できてよかったです。
駐車場になったところも、震災前は学校だったと聞いていたし、今は更地になっていて何もなくて。
地元のバスの運転手さんと話したり、会場から離れた場所だったけれど、自分なりに現地を感じながら活動できました。
Q.東北ジャム2013の思い出ってあります?
人との出会いかな。
当日一緒に活動したメンバーもだし、今一緒に仕事をしている人とも東北ジャムで出会えたし。
東北ジャムが終わっても後々、他のところで出会った人とたまたま東北ジャムの話になったりして。イベント当日はかかわりがなかった人とも後になって盛り上がることもありますよ。
実際に行って自分の目で見て、友達や知り合いもできて、いろんなことを体感して、世界が広がったので東北ジャムに行ってよかったなと思います。
Q.今の仕事に就いたきっかけも東北ジャム2013だったんですよね?
そうですね。ずっとイベント関係の仕事してみたいなって思っていて、東北ジャムで出会った人に相談したら、今の職場を紹介してもらって、たまたま正社員を募集していたときだったので、自社のイベントのボランティアや研修期間を経て入ることになりました。
Q.東北ジャム2013から生活がガラッと変わったと思うんですけど、今の生活はどうですか?
日々の仕事に追われていて、立ち止まって考える余裕は正直なかなかないけれど、東北ジャム2013からの繋がりで、やりたかった仕事に就くことができて、やりたいことを実現できる環境にいるし、家族もできたし、幸せな環境にいるなって思います。現場の仕事も楽しいですしね。
Q.普段の生活で震災のことや東北について考えることってありますか?
earth gardenという環境にいることができるので、仕事関係でも東北行くこともあるし、東北ジャム2013を通して東北に友達もできて、考える機会は多いかなって思います。
僕は静岡出身で、幼いころから東海地震がくるぞ。っては言われていたけれど、東日本大震災が起こっても遠くの話だって思う地元の人も多いと感じて、少し歯がゆいなって思います。
僕が今働いているearth gardenでも様々なイベントでボランティアさんに協力してもらっているんですけど、僕たちが関わっている、震災とは関係ないイベントとかに来てくれるボランティアさんが、こういうタイミングで東北に行ってみようってなったらいいなって思うんですよね。
ボランティアさんが一つのジャンルに偏らず、楽しそうだからとか友達がいるからとか、そういう感覚でもいいから色んなジャンルを行ったり来たりして色んな経験をする人が増えたらいいなと常に思っていますよ。
東北ジャムは音楽っていうフィルターを通して、行くことができるいいきっかけになるんじゃないかなと思います。
福島県南相馬市で行われたイベントには、東京からearth gardenボランティアが参加しました
Q.木村さんが考えるボランティアってなんですか?
うーん。なんだろう。
「きっかけ」かな。
僕自身、ボランティアに参加したのがきっかけで人生が変わりましたからね。
Q.ボランティアに行ってみようかなと迷っている人へメッセージをお願いします
迷ったら行くべきだと思います。
絶対に何かしらのきっかけに出会えるから。
僕なら仕事と出会うきっかけ。
仲間に出会うきっかけ、活動が終わって日常に戻った時にまた日々の仕事を頑張ろう!って思うきっかけだったり…。
それが、人によって何のきっかけになるのかはわからないですけどね。
Q.これからも東北にかかわっていきたいですか?
そうですね。東北にはたくさん知り合いがいるし、復興とか支援とかっていうことじゃなく、知り合いが面白いことをやっているから、それを見続けていきたいな、お手伝い出来たらなと思います。
リンク
東北ジャム2013の様子はこちらから
https://kacco.kahoku.co.jp/blog/volunteer12/40044
https://kacco.kahoku.co.jp/blog/volunteer12/40046
東北ジャム2015のボランティア募集情報はこちら!
http://volunteerinfo.jp/news20150907
取材:田屋 由佳利
プロフィール
木村健太(27歳) 職業:会社員(earth garden) 住まい:東京都 出身:静岡県 |