仙台市民として、震災ボランティアを続けるために。

東日本大震災 |
2014年 4月 2日




ボランティアストーリー008-01
2014年3月11日、仙台市勾当台公園は市民の祈りの場となりました。
3000個のキャンドル、浮かび上がる「しあわせ」の文字。3年前から何もかもが変わってしまった人、あたりまえの日々を幸せと思う人、祈る想いは様々。そんな人々の多様な想いを受け止めるこのキャンドルナイトというイベントもまた、たくさんのボランティアに支えられて実現しました。
この数日前に、当日に向けてのボランティア説明会が行われ、その時偶然隣同士となった岡澤みな子さんと合原生恵さんは、実は以前にも仙台市内で行われている写真洗浄ボランティアで顔見知りの関係だったそうです。ボランティアを通じて知り合ったお二人の、ボランティアを続ける秘訣を聞いてみました。

Q.まずは今回のキャンドルナイトボランティアの感想やきっかけを教えてください

合原 私は仕事終わりの数時間だったので片付けだけでしたが…。やろうと思ったのはやっぱり3月11日だから。それに仕事の後でも参加できるし、今日出来るのはこれかなって思いました。
 
岡澤 私は去年の3月11日、体調が良くなくて自宅にいたんです。来年は何かやりたい、家にいたくないって思っていて今年参加しました。キャンドルのコップにメッセージを書いてもらいましたが、想いが溢れてか書けない方がいました。しばらくしてから戻ってきて、書いていかれました。色んな想いを持って来ているんだなって思いました。

ボランティアストーリー008-04

Q.お二人が震災関連のボランティアを始めたきっかけは何だったのでしょうか?

岡澤 震災時、私は仙台市内の職場にいました。飲食店だったので食器が飛んできたり、ライトが揺れたりしていました。2011年の7月くらいに体調を崩して、仕事を辞めざるをえなくなってしまいました。続けることにドクターストップがかかってしまったんです。
仕事を辞めた後、ずっと家にいたのですが何かやりたいなと思っていました。
実は、石巻の親戚が震災で7人亡くなっています。従妹のお姉ちゃんもまだ見つかってなくて。実際に自分が現場に探しに行くことはできないけれど、私がボランティアをすることで、見つかる気がして。仕事を辞めて2か月後に初めて、仙台市内で行われている被災した写真の洗浄ボランティアに行きました。

Q.お二人は偶然そこでお会いしているのですよね?

合原 はい、写真洗浄は私にとっても初めてのボランティア活動でした。2012年の6月くらいかな。そこから月1回くらいのペースで参加して、翌年の3月に被災写真の展示会があったのでそこで一区切りにしていました。
今でこそボランティアは楽しんで参加していますが、当然最初は「楽しみたい!」という気持ちは全くなくて。
震災関係で何かお手伝いがしたいと思い、自宅から通えて初心者でも出来そうな写真洗浄を選びました。
作業も、楽しんでやるというよりは真剣に、丁寧に、集中して…という感じで、割と黙々と作業していました。でもその中で、多くの方との関わりがあり、それが自分にとって良い刺激になっていったのだと思います
ボランティアストーリー008-02

Q.初めは写真洗浄ボランティアに参加したお二人ですが、それ以外にも参加したり、他の地域に行ったりもしていますか?

合原 写真洗浄に行かなくなってから3カ月程何もしなかった時期がありました。でもやっぱり何かしたい、そして仙台以外の(被災した)場所も見ておきたいと思い、石巻や東松島、名取市の閖上などでイベント等の手伝いを始めました。
ここからが私の「楽しいボランティア」の始まりです。石巻ではツールド・東北という自転車レースで選手のサポートなどをしたり、東松島ではクリスマスイベントのお手伝いをしたりしました。何よりイベント自体が楽しいし、ボランティアの現場にいるモチベーションの高い方々の話を聞くのも楽しかったです。
地元の方々、他のボランティアの方々、ボランティアをまとめて下さる団体の方々、多くの方との出会いが楽しいので、自分のフットワークも軽くなっていきました。
ボランティアストーリー008-03
岡澤 私は、仮設住宅の夏祭りのお手伝いに行きました。
その他は仙台市のボランティアステーションから定期的に送られてくる募集情報のメールをチェックして、自分のスケジュールを見て行けそうなものがあったら行く、という感じです。
そういえば、写真洗浄には京都から何回も来てる方がいて、被災地に友達が欲しいとのことだったので、一緒にごはんに行ったこともありました。ボランティアに行くと全国から来ている方々と知り合えて嬉しいですね。
たくさんの方が来ているんだって思うと、なんか感動してしまって、東北のためにありがとうってすごく思いました
 
合原 仙台にいながらにして、様々な地域の話や情報が聞けるのは、私も楽しみの一つでしたね。

Q.ボランティアを続けているモチベーションって何でしょうか?

合原 私はそんなにガツガツやってるわけじゃないんだけど(笑)、とにかく楽しいのがいいと思います。色んな人と関わり合いながら、話したり、考えたりするのも楽しいし。
仕事との兼ね合いもそんなにきつくはないです。私は大学で研究補助の仕事をしていて自分で時間を組んで進めることができるんです。ボランティアは主に土日に行っています。

Q.合原さんは活動場所まではどうやって行ってますか?

合原 私は車を持っていないのでバスや電車ですね。写真洗浄ボランティアをしていた時はバスで行っていました。
自宅から50分くらいで、本数も少なくて…それがちょっときつくて、毎週は行けませんでした。友達と遊んだりもしてたし。
結果的に月1回くらいのペースになっていましたが、続けるという意味ではちょうど良かったです。

Q.自分のペースで続けていくことが、長く続けられるコツかもしれませんね。

合原 そうですね、そう思います。
 
岡澤 私は仕事を辞めたあと、とにかく家にいるのが嫌だったんですね。震災時に、避難所などで自衛隊や消防の方の活動を目の当たりにして、ずっと自分は何ができるだろうと考えてはいました。それで始めたのかも。でも震災がなかったらボランティアなんて興味がなかったし、やってなかったと思います。
 
合原 私も!ボランティアって献血くらいはやっていたけど、学生のときはサークルばっかりで、ちゃんとした活動は私も震災後です。
 
岡澤 やりたいと思ってもなかなか一歩が踏み出せないですよね。

Q.お二人はボランティアに行っていることを周りに話していますか?

岡澤 言わないです。以前に話の流れで知り合いに言ったとき、「え?被災者なのに?」って驚かれました。「自己満足でしょ?」って言われたり。自分は純粋に微力でも出来ることをしたいと思ってたけど、中にはそう思う人もいるんだなって分かった後は、言わなくなりましたね。
 
合原 私は、ボランティアに行ってると言うと「偉いね!」って言われるのが嫌なんです。自分は楽しんでいるだけなのに。ぜんぜん偉くなんかないし、自分が楽しいからやってるだけで、友達と遊びに行くのと同じ感覚で行っています
ボランティアって言葉も使わないかな。SNS上でもボランティアで来てますって言うより、ただ現地の情報を伝えるだけかな。
 
岡澤 なんか距離を感じてしまうよね。
 
合原 そうですよね。

Q.ボランティアがハードル高いと感じてしまう理由は何だと思いますか?

合原 うーん、なんだろう…。(しばらく考えて)1人で行くのが怖いとかかな?それから私の場合、1日だけのイベントとかはすごく参加しやすいですね。

Q.最後にまだボランティア活動に行ったことがなくて、行きたいと思っている方々に向けてメッセージをお願いします

岡澤 ボランティアというと堅苦しく考えてしまうと思うけど、1回行ってみると人との出会いが楽しいです。そこで自分が変わったりしますし。私も仕事を辞めた時、すごく落ち込んでいたのに、ボランティアに行ってこんなにたくさんの人に支えてもらっていると分かったら、もう、前向きに元気になれました。なんか、止められないですね。細く長くだけど、身体が動く限りは続けていきたいです
 
合原 私はとにかく「楽しい」ってことを分かってほしい。もちろんそうじゃない活動もあると思うけど、私は楽しいものを選んで行っています。
取材:及川多香子
プロフィール

ボランティアストーリー008-06 岡澤みな子さん
職業:派遣
住まい:宮城県仙台市
ボランティアストーリー008-05 合原生恵さん
職業:大学職員
住まい:宮城県仙台市



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