困っている人がいたら助ける。その延長が俺のボランティアです。

フェス, 東日本大震災 |
2015年 10月 5日




ボランティアストーリー024-01
体格がよく一見少し怖そうな遠藤さん。だけど話してみると、人見知りでシャイな優しい方なんです。年下のボランティアさんたちからは「おとうさん」の愛称で呼ばれ信頼されています。
石巻で生まれ育ち震災を経験しましたが、震災当初ボランティアは苦手な存在だったそうです。その後、2013年に開催された東北ジャムのボランティアに参加し、継続的に宮城県内で開催されるイベントのボランティアに参加されています。東北ジャムやボランティア活動への想いなどについて伺ってきました。

Q.震災当時はどこで何をしていましたか?

仕事中で、石巻市役所の近くのコンビニに車を止めたところでした。ものすごい揺れで「これはやばいな」って思って、仕事を頼んでいる人たちが大街道にいたのでそこの様子を見に行って、そのあと俺も会社に戻りました。
震災から3日後に自分の家に帰って家族に会うことができました。その時、初めて子どもたちの前で泣いてしまいましたね。

Q.東北ジャム2013のボランティアに応募したきっかけを教えてください

Facebookで東北ジャムのボランティアを募集しているっていう誰かの投稿をみて知ったんですよ。正直、その当時はメインのアーティストのことも知らなくて、だけど地元でこんなイベントがあるならボランティアやってみようかな。と思って応募しました。

Q.震災後は他にボランティア活動ってしていました?

したことなかったです。むしろ、ボランティアに対して苦手意識がありました

Q.苦手意識があったのはどうしてですか?

俺は建築関係の仕事をしているので、がれき撤去も仕事でしていたし、震災後のGW中は当時、冷蔵倉庫に放置されたままの魚の片付けとかもしていたんです。
自分が仕事をしているときに、ボランティアで来ている人たちが記念写真に撮っていて、どうせ遊び来ているんだろうな、仕事の邪魔にはなるし嫌だなって思っていました。そういう人たちに直接注意したこともありましたよ。
時間が経って、当時ボランティアに来ていた人たち全員が全員そういう人たちでないのはわかったし、今は写真を撮っている人を見ても何とも思わなくなったけれど、当時はそういう雰囲気ありましたからね。

Q.ボランティアに対して苦手意識があったのに、東北ジャムのボランティアに申し込むのは抵抗なかったんですか?

抵抗なかったです!もう震災から2年以上経っていたし、その時にはボランティアへの苦手意識も自然と薄れていました。

Q.一人で参加することに迷いはなかったですか?

それはありましたよ!
当時35歳。なんで今更始めるんだろうって自分でも思いました。
それよりも、震災で地元が何もなくなって「やるしかない!」って勢いで申し込みました。
震災後何かやろうと思っても、自分の年齢だったり、ノリの違いや雰囲気に足踏みしてしまっていたんです。
でも、震災を経験していつあぁいうことが起きるかわかからない、昨日生きていた人が今日死んでしまう状況を目の当たりにして、後悔しないように生きたいって思うようになったんですよ。

Q.実際に参加してみてどうでしたか?

いやぁ…。説明会に遅れていったら、若い子ばかりだったし雰囲気の違いを感じで、その夜は、後悔とやるしかない!っていう気持ちとで葛藤していましたよ。
「こんなんでやりたくないなんて思っちゃだめだ。やるって自分で決めたんでしょ良一!」って自分で自分に言い聞かせていました(笑)。
だけど、そのあとの事前ボランティアにAIR JAMのボランティアに参加していた人がいたり、「おとうさん」っていうあだ名もつけてもらえたり、楽しかったです。

ボランティアストーリー024-03

Q.当日はどんな活動をしましたか?

俺はリストバンドチェックをしていました。
同じチームのメンバーがいい人たちだったし、ちょーーーー楽しかったです。
これは(ボランティアを)やらないともったいないって思いました。

Q.東北ジャム2013のあとは、どんなボランティアに参加しているんですか?

宮城県内でやっている音楽イベントですね。ARABAKI ROCK FESだったり、LANDMARK FES
だったり…今年は初めて気仙沼サンマフェスティバルに参加します。

ボランティアストーリー024-06

Q.ボランティアに参加するようになって変わったことってありますか?

高校生や大学生とかの若い子を見る目が変わりました
以前は「最近の若い子は覇気がないな」っていう印象をもっていたんですけど、本当はそうじゃない子もたくさんいて、一つの結果や答えを出すために俺には考えられない発想や思いがあったり、教えられることも多いです。
若い子が考えることを頭ごなしにダメって思ってはいけないなと思いました。
仕事をしていると年下からの声ってあんまりあがってくることはないし、普段から年下の人と関わることがなかったから、ボランティアを通して若い子たちの考えを聞くことができたりして新鮮です。

Q.家族や周囲の反応はどうですか?

友達には「何か裏があるんだろうな」って思われています。若い女の子がいるからだろとか!(笑)
家族には、何してきたの?とまで聞かれたりはしてないですけど、俺が楽しんでることはわかってくれているみたいだし、気持ちよく送り出してくれます。いつか子どもと一緒にボランティアに参加できたらいいなって思います

Q.遠藤さんにとってボランティアってなんですか?

なんだろう…正直ボランティアだと思っていないのかも。
俺は学生時代、学園祭・文化祭とかをあんまり経験していなくて、だから東北ジャム2013は初めての学園祭の気分でした。そりゃ楽しいでしょ!
イベントボランティアは遊び場に近いのかもしれません。「遊び場」って言ってしまったら語弊があるかもしれないけど。
イベントのボランティアに行くと、他で出会った仲間も参加していてまたそこで再会できたり。ボランティアをしながら楽しんでいます。
大それたことをしてるわけでもありません。

ボランティアストーリー024-04

「ボランティアしに来ました。ボランティアしてあげますよ」っていうスタンスではなく、困っている人や、大変な人がいるから助けたいなっていう気持ちが常にあります。身近な人が困ってたら助けたいって思うでしょ?それが第三者になったからって急にそっぽ向いてしまうのっておかしな話だなって思うんでよね
震災から5年。ボランティアはもう必要ないって声も最近聞くけど、震災以外にも日々の生活や何かやりたいって思ったときに人手が欲しいときがあるだろうし、「ボランティアはもう必要ない」って関わっていない第三者が決めることじゃないと思います。

Q.ボランティアって活動内容によっては大変な時もあるんじゃないですか?

そうですね。正直しんどいなぁって思うときもあります。活動内容だけ考えたら楽しいわけじゃないときもあるし。だけど、その時一緒に活動する人たちとその活動をどれだけ楽しめるかを大事にしています。

Q.バイトや仕事とボランティアって何が違うと思いますか?

イベントのときだとやっている仕事の内容はバイトもボランティアもほぼかわりはないですもんね。
仕事やバイトだと「仕事」だからお金はもらえるけど、楽しんではダメな雰囲気があると思います。だけど、ボランティアは楽しみながらお手伝いする感覚なのかなって思います。仕事だと言われた通りにすることが多いと思うけど、ボランティア活動をしていると自分で考えて行動することが多いし、みんなで「こうしたらいいんじゃないか、あぁしたらいいんじゃないか」って意見を出し合いながら活動できますよね。ボランティアは上下関係なくフラットな関係だから意見も出しやすいのかな。

ボランティアストーリー024-05

Q.東北ジャム2015には今年もボランティアとして参加するんですよね。意気込みを教えてください!

東北ジャムは「いつまでも被災地じゃない」っていうコンセプトですけど、その想いを更にお客さんに魅せるガソリン的な役割になれたらいいな。って思います
事故なくイベントを行い、東北ジャムがもっとたくさんの人に認知されて毎年続けられるフェスになればいいなって思います。

Q.石巻の魅力を教えてください

俺、地元から出たことないから他と比べることができないんですけど…。
俺は自分が生まれた町だからこの町が好きです。震災後BLUE LESISTANCE(ライブハウス)もできて盛り上がるところもできたし。
元から石巻って人口に対して居酒屋の数がかなり多いんです。だから東北ジャム2015で女川に行くときは、石巻は通り道だし、前泊して石巻の町も見てもらえたら嬉しいです。
その町で飲んで、町を楽しんでもらいたいです。石巻って面白いところだと思います。
初めて来る人は元の町の景色がわからないだろうから震災後どんな風に町が変化したのか、感じづらいところもあるかもしれないけれど東北ジャム2013の会場になったOnepark周辺は震災の爪痕が残っている場所もありますよ。

ボランティアストーリー024-07
Oneparkは現在、スケートボード教室などが開かれ、子供から大人までたくさんの人が利用しています

Q.最後に、これを読んでいる人にメッセージをお願いします

やりたいって1㎜でも思っているなら絶対やったほうがいいと思います。
俺が面倒見ますから!
ボランティアってしっかりしているイメージがあるとおもうんですけど、俺自身は、年齢的にも体型的にも性格的にもボランティアに向いているタイプじゃないですし。でもそういう俺にもできてるし、そんな俺をみて「俺でもできるかも」って少しでも思ってくれる人がいたらいいなって思います。
「初めてボランティアに参加します。」っていうような人が増えたらいいな。
新しい人と出会えることが楽しみです。

リンク
東北ジャム2013の様子はこちらから
https://kacco.kahoku.co.jp/blog/volunteer12/40044
https://kacco.kahoku.co.jp/blog/volunteer12/40046

東北ジャム2015のボランティア募集情報はこちら!
http://volunteerinfo.jp/news20150907

取材協力
Onepark http://onepark.net/

取材:田屋 由佳利
プロフィール

ボランティアストーリー024-08 遠藤良一(30歳代)
職業:会社員
住まい:宮城県石巻市
出身:宮城県石巻市在住



最新のボランティア募集情報
一覧へ



    トップページボランティアストーリーとは運営団体について記事一覧お問い合わせ

    赤い羽根共同募金