今だから、必要な活動があるって強く思います。

東日本大震災 |
2015年 8月 17日




ボランティアストーリー022-01

福島大学に通う佐藤さんとは今年の3月に行われたキャンドルナイトで出会いました。可愛らしく優しい笑顔の佐藤さん。前へ前へと出るタイプではないけれど、芯をしっかり持ち、常に周りを見て必要なときにふと手を差し伸べてくれるような印象を受けました。
佐藤さんと話していると、福島が好きということを強く感じました。
災害ボランティアセンターの活動を通して感じていること、そして福島の魅力について伺ってみました!

Q.初めに災害ボランティアセンター(以下 災ボラ)について教えてください。

団体立ち上げは2011年5月1日です。実際には3月11日の震災発生直後、福島大学の体育館が避難所になっていて、その避難所運営にかかわっていたメンバーが団体を立ちあげたので5月以前に活動は始まっていた感じです。
団体は登録制になっていてメーリングリストを作成しています。
活動は、孤立死・孤独死を防ぐことを目的に、主に福島市内の仮設住宅で活動をしています。その他に長期休暇にはキャンプイベントだったり、風化防止を目的に県外へ行き今の福島のことを知ってもらう活動をしたりしています。

ボランティアストーリー022-03
写真 左:仮設住宅で足湯活動を行っている様子。 右:前橋市での活動の様子。

Q.震災以降ボランティアをする人は減少傾向にあるけれど、災ボラの登録者も減っていたりしますか?

登録者自体は減っていないと思います。昨年の最終登録者人数は約400人でした。
毎年、登録し直さなければならないんですけど、今年は今の時点で332人なので今年も最終的には400人になる予想です。
少しでも災ボラの活動を知ってもらえるように先週も構内で災ボラウィークというものを開催していました。

Q.災ボラウィークでは、どんな活動をしたんですか?

活動紹介や災ボラに登録してもらえるように登録フォームのQRコードが書かれたうちわを配布したり、日頃の活動資金やネパール大地震のための募金活動を行いました。好評だったのは、いつも行っている仮設住宅に住んでいる方に不要なものを提供してもらって行ったフリーマーケットです。

ボランティアストーリー022-04

Q.フリーマーケットは面白いですね!佐藤さんが災ボラで活動を始めたきっかけを教えてください。

私は栃木県出身なんですけど、震災当時はほとんど被害もなくすぐに普通の生活に戻っていました。震災のこともどこか他人事というか…。でもそこに何となく違和感は抱いていて。
縁あって福島大学に入学することになって、実際に福島県内に住んでみると浜の方に行けば、当時震災から2年経っているのにがれきがあったりと震災が起きたままになっていて「今まで私は何していたんだろう」という気持ちになったんです。
せっかく福島大学に入学したし「ボランティアしてみたいな」と思って災ボラに登録して活動に参加しました。
他人ごとに感じてしまっていた2年間を取り戻したくて活動しているところもあるかな…

Q.どのくらいの頻度で活動に参加しているのですか?

1年生の時は、他に学校のこともやっていたので2か月に1回くらい参加していました。
2年生になった頃から頻繁に活動に参加するようになって、今は多いときは毎週参加しています。

Q.毎週参加している時もあるんですね!今日まで頻繁に活動を続けられている理由はなんですか?

毎週参加していると言っても、実家に帰るような気持ちで仮設住宅の方々に会いに行っています。仮設の方には孫のように可愛がってもらえて、嬉しいです。
あとは、災ボラの先輩方との出会いも大きいです。卒業しても団体のことを気にしてくれてアドバイスくれるんです。
県外の大学生やNPO団体の方とも交流があるんですけど、県外から来てくれる方たちは、なかなか来れないからこそ強い想いを持ってきてくれて、すごく刺激を受けます。
人との出会いがあって、信頼関係を築けて今日まで継続できていますね。

ボランティアストーリー022-05

Q.2013年から活動を始めて、ボランティア活動に変化はありますか?

私たちの活動自体に大きな変化はあまりないですけど、今年の6月から福島市内でも復興住宅へ引っ越す方々が増えたんです。
仮設住宅に空き部屋が増えてきて寂しくなってきました。
福島県内は震災後、若い人は県外に出て行ってしまった人も多いですし、仮設には高齢の一人暮らしの方が多いんです。
そういう一人暮らしで仮設に残っている住民の方に話を聞いても「震災当時はどうにかしなければ!と躍起になっていたけれど、今は仕事も失って毎日一人ですることもなくなってしまった。今の方が気持ち的には辛い」とおっしゃる方がいます。
支援する対象となる人は数的には少なくなったかもしれませんが、今だからこそできる支援があると強く感じています。私もこれからも活動を続けたいなと思っています。

Q.震災後、福島は宮城や岩手と別の問題を抱えていると思うんですけど、福島の大学に行く抵抗はなかったですか?

小さい頃、よく福島にキャンプに来ていたんです。なので福島には親近感がありました。
高校生の時に大学見学にきて、福島大学には構内に線量計があるんですけどその線量計の数字をメモして、栃木の家に帰って地元の線量を調べて比べてみたりしました。
そうすると大して線量に変わりがないこともわかって、両親や周りも理解してくれていたし私は抵抗なく入学できました。
福島大学に来て今すごく充実しているし楽しいです。

Q.佐藤さんは普段どんな学生生活を送っていますか?

災ボラ以外には管弦楽団に入っています。3年生なので就活に向けて、仲間たちと就活に対する不安を解消するために質問し合える場づくりを開いたりもしています。
あとは受けたい講義を受けて、バイトして...という感じですかね。

Q.自分がやりたいと思ったことにチャレンジするのに抵抗を感じないんですね

そんなことないですよ!私も元は家にいる方が好きでしたし。大学に来て災ボラで活動をするようになってから変わった気がします。
自分が動けば動くほどどんどん自分の経験になることがわかりました。
ボランティアをしていて「人の為に」ってことはもちろんあるけれど「自分の為に」っていう部分も大きいです。

大学4年間くらいは色んなことにチャレンジしよう!って思っています。

Q.これを読んでいる人たちへメッセージをお願いします。

ボランティアする人は減っているけれど、それは必要がなくなったんじゃないと思います。
東日本大震災から5年目に入って、震災当時とはニーズも変わっていて、私は今だからこそボランティアが必要なんじゃないかと思うときもあります。
「ボランティア」ってやっぱり主体性ありきかなと思うので、誰かにやらせられてやるのではなく、自分で「やりたい」と思ったときがチャンスだと思います。
若い人が行くと、もうそれだけで喜んでくれる方もいますし、自分のような若い世代の人たちに「今しかできないこと」をしてもらいです。
ボランティアってそんな難しいことばかりじゃないので、「やりたい」と思ったときに気軽に行けるようになってもらえたらいいな。

Q.佐藤さんのお話を聞いていて、福島が好きなんだなって感じたんですけど、いろんな人に福島に来てもらいたいって思ったりしますか?

福島大好きですよ!色んな人に来てもらいたいなって思います。
今の福島っていうと「放射能」「原発」って思い浮かんでしまう人が多いかもしれません。だけど、福島って本当はすごく素敵なところですよ。
四季によってお祭りがあるし、いわきには海があって水族館は面白いし、会津は歴史に触れられるし、中通りには温泉がたくさんあるし…あと福島県は桜の名所が多いです!
福島県内は広いので地域ごとに色んな魅力を感じてもらえると思います。

ボランティアストーリー022-06

休みの日は色々なところに行けるので私も楽しく過ごしています。
被災地めぐりももちろん福島の現状を見てもらうためにはいいと思うし、ボランティアにも来てらえたらという想いもあるけれど、せっかく福島に来てもらえるなら福島を楽しんで、魅力も感じてもらいたいなって思います。

取材:田屋 由佳利
プロフィール

ボランティアストーリー022-07 佐藤 しおりさん(21歳)
職業:大学3年生
住まい:福島県福島市
出身地:栃木県



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