きっかけと、つながりが、あったから。

東日本大震災 |
2013年 11月 11日




ボランティアストーリー001-01

震災後、大船渡の友人を訪ねたのをきっかけに、何度か岩手を訪問し、物資を集める活動をするなど、被災地とのかかわりを持ち続けているなおさん(22歳・会社員)にお話を聞きました。

ボランティアって、いままでどんなことをやっていましたか?

友人の保育園で子どもたちと遊ぶ、ということは一度ありましたが、ボランティアってどこから「ボランティア」なのかな、っていうのは、うーん。正直よくわからないですね。
大学生のときに時間があって、経験のためにとも思ってやっただけなので。

Q:では、震災後、はじめて被災地に行ったときのことを教えてください。

2011年の9月頃かな。大船渡で消防士をしている友人がいて、友達と二人でその人に会いに行きました。私は音楽が好きなんですが、そのつながりで震災前から知り合いだった人です。当時大学生で、時間もあったので。
最初は興味本位でした。「テレビで見ていることを、自分の目で見てみたい」って。その友人から「まだ電気がつかない!」「充電できないんだー」っていう大変な状況のお話だけは聞いていたんですよね。
遊びに行って大船渡をふらふらと歩いているときに、地元のおじさんが話しかけてくれました。一緒に雑草をとったりしながら、震災当時の衝撃的なお話を色々聞きました。
実際に被災地に行って、最初は「興味本位」だったけど、自分が思っていたよりずっと状況はひどくて、「興味」が「興味」ではなくなっていました。

Q:「興味」は何に変わったんですか?

うーん。「興味」が「なにかしたい」に変わったのかな。もともと、「なにかしたい」って気持ちがあったから現地に行ったのかもしれないけど、その気持ちが強くなりました。

Q:その後はどう過ごしていましたか?

それからバタバタしていて、なかなか現地にいけなくて。
こっち(関東)で自分たちのできることはないかな?と探しても、なかなか見つからなかったです。でも何かしたいという気持ちはあって、2012年にまた大船渡の友人を訪ねました。仮設住宅に住んでいるおばあさんとお話をしたり、がれきを拾ったり。どこかのボランティア団体に所属したわけではなく、友人が消防士で地域のことをよく知っているので、紹介してもらいながらですね。

Q:大船渡に行って、印象に残ったことはありますか?

70歳くらいのおばあさんと話していたときに、
「自分は年をとっているから『いつ死んでもいいや』なんて思っていたけど、あの時は、やっぱり『死にたくないし、死ぬのが怖い』と思った」
「自分より若い子が目の前で流されてしまって、自分だって死ぬのは怖いけど、『できればかわってあげたい』と思ったんだ」

って。
その話を聞いたときは、何もいえなかったですね。
基本的に、話を聞くときは内容に対してレスポンスはせず、うん、うんと頷いていました。
もともと大学は人間科学部というところで、人にかかわることを勉強していました。「話を聞くときはレスをしないほうが良い」とか「頷くことが大切」というのも学校で勉強していました。

Q:その後はどんなボランティアをしましたか?

2012年の9月に、AIR JAM 2012という音楽フェスのボランティアをしました。震災のボランティアとは違うけど、その時にボランティアインフォを知って、Facebookなどからいろんなボランティア情報を知れるようになりました。

Q:関東ではどんなことを?

ボランティアインフォからの紹介で、日比谷公園で「震災ボランティアを紹介するボランティア」をしました。あとは、物資を集めるお手伝いもしています。それも、好きな音楽がきっかけで知り合った人がやっている活動です。

PeaceOnEarth20130311_06
日比谷公園で行われたPeace On Earthでボランティア紹介をするなおさん(右端)

被災地に行くのって、自分としては「いい経験」だけど、「それでいいのかな」ともやもやしています。気持ちが中途半端だなって思うし、そう思っている私のような人を見て、住民の方はどう思うのかな、とかいろいろ考えちゃいます。大船渡で出会ったおじさんは、たまたま当時のお話をしてくださったけど、中にはまだ震災のことを話せない人とかもいるでしょうし・・・。
こういうもやもやは、最初の頃だけではなく、今も感じています。たとえば、物資を集めても、全員に届くわけじゃない。「自分のやっていることって正しいのかな」「何が正しいのかな」「これっていいのかな、悪いのかな」って。

ボランティアストーリー001-02
音楽つながりの友人がはじめたという、物資を集めるボランティア活動

Q:それでも被災地とかかわり続けてるのは、何でだと思いますか?

うーん・・・。「自分の目で見たからこそ、何とかしたい」と思ったから、ですかね。一人の力じゃどうにもならないこともあるけれど・・・。
うん、でも、なんでボランティアするの?って聞かれたら、・・・なんでなんでしょうね。笑 なんでやってるんだろう? きっかけがあったから、かな。きっかけとなるつながりがあって、時間とタイミングが合ったから。人とのつながりがあったからじゃないかな、って思います。

Q:.最後に、これからボランティアをやってみようかなと思っている人に伝えたいことを!

そんなに偉そうなことは言えないです・・・(笑)
私は人とのつながりときっかけがあったから行った。それだけです。
ボランティアをしている人が偉いとかそういのってないと思います。でも、実際に行くと行かないではぜんぜん違う。「行く」のはボランティアじゃなくて、地元のものを食べに行くとか、人に会いに行くとか。そういうのでいいんじゃないかなって。
 震災のこと、テレビでは報道されなくなってきたし、忘れている人も多いかもしれないけど、「行きたい」って気持ちがあったら行ってみたらいいのではと思います。

取材:宮本裕子
プロフィール

ボランティアストーリー001-01 なおさん(22歳)
職業:会社員
住まい:東京



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