ボランティアにはバイトにはない、素敵な”みかえり”があるから。

東日本大震災 |
2014年 1月 13日




ボランティアストーリー004-01

ニコニコとした柔らかい雰囲気が印象的な政(つかさ)翔一郎さん。多いときにはほぼ毎週のように、さまざまなボランティア活動に参加しています。東北へのボランティア経験も、10回以上。そんな政さんに、行動力の源を聞いてみました。

Q. これまでにどんなボランティアをしていたのですか?

出身地の奄美大島にいた中高生くらいのとき、知的ハンデをもった子ども達をサポートするボランティアをしていました。両親が福祉施設や病院に勤めていて、その影響もありました。いま、キリスト教系大学の神学部に通っているんですが、もともと大学を選ぶきっかけになったのも、マザーテレサの活動などに興味があったからというのもあります。
大学に入ってからは、キリスト教系ボランティア団体のスタディーツアーに参加しました。南太平洋のソロモン諸島で3週間、井戸やトイレをつくる活動や、現地の高校生との交流をしました。

Q. 震災のときは大学2年生だったということですが、その日はどこで何をしていましたか?

あの日、地震が起きた瞬間は新宿駅の東口にいました。友人たちと「飲みにいこう!」と約束をしていて、「その前に買い物もしようか」と、15時に新宿で待ち合わせをしていたんです。
地震が起きてすぐに「これは今までの地震と違う」と恐怖を感じました。大津波警報が出ているとか、マグニチュードがいくつだとか、今後も余震があるといった情報や、東北の状況がアルタのビジョンに映し出されているのを見て、呆然と立ち尽くしたのを覚えています。
結局、待ち合わせをしていた友人とも連絡が取れなくなってしまって。とりあえず「飲み会は中止」とFacebookに書き込んで家に帰りました。友人とは夕方にやっと連絡が取れて。「家に帰れなくなってしまった」ということで自分の家に泊めてあげました。

Q. その後、頻繁に被災地へボランティアに行かれたということですが、初めて訪れたときのことを教えてください。

2011年6月末頃、3日間、石巻の門脇地区へ行きました。ソロモンでお世話になった団体が、東北でのボランティア活動を計画していると聞いて参加しました。
3日間のうち、最初の2日間はお湯を沸かして提供する活動でした。「お湯を汲みに来た被災者の方が、少し落ち着いてお話ができるように」と、カフェスペースも設けました。残りの1日は、個人宅に訪問して泥かきを。被災の状況や心境を細かく話してくださる方もいたんですが、衝撃が強すぎてどう受け止めたらいいかわかりませんでした。高齢の方なんかは、被災して心が疲れているのかもしれないな、という印象も受けました。
被災地の状況はテレビで見ていたけれど、想像以上でした。「なんだ、これは」と。一番印象に残っているのは「町のにおい」です。雨が降ると、いろんなところに付いている汚れのにおいが遠くからも漂ってきていました。

ボランティアストーリー004-03

Q. その後は、何回くらい東北へボランティアに行きましたか?

もう10回以上になります。いつも、3日間くらいの日程です。
大学で、提携団体のボランティア活動に参加すると学校が交通費や食費を支給してくれるという制度があって、それを活用しています。団体への連絡も学校が間に入ってくれますし、宿泊施設もあるので金銭的な負担は本当に小さいです。
何度も何度も行っていたら、学校のボランティアセンターの人とも仲良くなってしまって、「政君、この日、人数が少ないから行ってみない?」と言われることも(笑)

Q. 東北でのボランティア活動の内容は?

自分はカリタスジャパンという団体で活動しているのですが、がれきの片付けや漁業の支援、「お茶っこ」といって仮設住宅にお住まいの方にカフェみたいな場を提供する活動などをしています。

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参加しているボランティアは、いろんな世代の人たちがいます。会社を休んで来る人、退職して長期で来ている人、学生も社会人もリタイアした人もいます。食事の時間に話したり、何度も行っているうちに顔見知りになったりと、ボランティアを通してたくさんの人と知り合い、仲良くなりました。帰ってからも「ボランティア仲間」みたいになっていて、お酒を飲みに行くこともあります。

Q. 現在は、震災ボランティア以外にもいろんな活動をされているようですね。

イベントや音楽フェスのボランティアによく行きます。興味のあるボランティアを見つけたら、まず行けるかどうかを確認しちゃいます。ほぼ毎週末、というかんじですね(笑) 
イベントやフェスはお客さんとして行くのも好きなんですが、ボランティアで参加するほうが好きですね。ボランティアじゃなきゃ出会わない人と出会えることや、自分の知らない世界を知ることができるのが魅力です。

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先日も、スノーボードと骨髄バンクを一緒にしたようなイベントのボランティアに行きました。スノーボードなんて観たこともなかったけど、ボランティアで参加することで、スノーボードに携わっている人と出会えたりするのが面白いんです。
他にも、サーファーたちがやっているグリーンルームフェスとか、サマソニ、アラバキ、AIR JAM・・・特に、AIR JAMは主催者の東北に対する気持ちが実感できて、参加して本当に良かったです。お客さん、ボランティア、出演者、主催者、みんなで作り上げた感じがしましたね。

Q. そういうボランティアって、どこで見つけてくるんですか?

他のボランティアで会った仲間から「こういうのあるけど、政君、行ってみない?」と。メールやFacebookなどで自然と情報が集まってくるんです。

Q. 知らない世界に飛び込むのって、大変じゃないですか?

参加する直前に「知識ないけど大丈夫かな・・・」と悩むことはありますが、「とりあえず行ってみよう」という気持ちになりますね。その場でいろいろ教えてもらえるし、意外とボランティアメンバーの中にも自分と同じような人がいることもあります。

Q. 政さんは、どうしてボランティアをしているんだと思いますか?

ボランティアって、お金が発生しない分、いろんなことができると思うんですよね。
イベントにはバイトとして参加したこともあるんですが、バイトだと「指示」「命令」に従って無理してでもお金のために働くので、「ああしなきゃこうしなきゃ」と硬くなってしまいます。でもボランティアの場合、リーダーもボランティアだったりしますよね。その人が困っていたら「こうした方がいいのでは?」って提案して、改善してということもできます
そういうのはお金をもらわないからこそ、できるんじゃないかなって思いますし、お金が発生しないからこその「見返り」がいっぱいあります

Q. 一番好きな「見返り」って何ですか?

やっぱり、人との出会いですね。ボランティアに行くと、活動が終わってからもつながりが続くこともありますし、現地の方に「また来てね」と言って頂けることもあります。
それと、たくさん友達を作るのが好きなんですよね。友達を通して、自分が経験していないことを聞けて、自分の世界が広がるのが楽しいんです。

Q. 政さんのように「行動に移したい!」という人って多いと思うのですが、「なかなかできない」「一歩踏み出せない」という人もいると思うんです。そんな方たちにメッセージを送るとしたら?

自分は、確かに「ボランティアをしている」んですけど、東北での活動もフェスボランティアも、身構えていないんです。ボランティアについて考えすぎるのもよくないかなって思って。
昔は踏み出すまでにいろいろと躊躇してしまうタイプだったんです。でも「これ、やりたいな」と思ったら考え込まずにやってみるのが一番じゃないかなと思います。たとえ失敗になろうと、それは後々経験になっていくわけだから。東北にボランティアに行くのもいいし、近場にも機会はありますよね。

取材:宮本裕子
プロフィール

ボランティアストーリー004-06 政翔一郎さん(23歳)
職業:大学生
住まい:東京都
出身地:鹿児島県・奄美大島






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